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Posted by - 2017.09.24,Sun
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Posted by LittKidd - 2008.04.09,Wed
「あいかわらず退屈なかたね。フォーマイル。さあ、啓示をお受けなさい。これはアルマゲドン(世界の終末における善と悪の決戦場)なのよ。……花ひらく怪物よ。あなたに見えるものをおっしゃってごらんなさい。」
(旧文庫 P223 オリヴィア・プレスタインの台詞)

つーわけで噂に違わぬ面白さの『虎よ、虎よ!』ですが、その面白さの中身が説明しづらい。
え、ここでコレ?みたいなの話の連続で展開が読めないし、意味のわからないシーンや絶対無駄だろうコレって描写も多いです。余分な何かをそぎ落とした、計算し尽くされた、ソリッドな(そして現代的な)プロットの面白さとは正反対のもので、豊饒、猥雑、プリミティブさといった語句が浮かぶのだが、それがたんに昔の小説だから(洗練されていないから)なのか、作者のベスターがそこを意識して描いてるのか、が本当にわからない。

ようは筋立ての破綻した、B級パルプすれすれ。という印象を下手したら持ちかねない作品。「復讐」というストーリー上の一本のラインに、扇情的なシーンをただただ詰め込んで次号は次号の風が吹く、っていう月刊探偵誌的なやつですね。あえてそういうガジェットに乗せて話を語る、という手法は、タランティーノやP.オースター(ブコウスキーも?)らによって90年代にはわりとポピュラーなものになったと思うのだけど、ベスターがそうした意識で、いわば「パルプっぽくやろっかな」って思ってやってるとは考えにくいし…。やっぱ無意識なのかしら。でも『モンテ・クリスト伯』というベースもあるわけで、てゆうか実際の文章読むと、ぜったいこの人天然じゃないし、ウーン。

1956年発表、というのがまた微妙で。これが60年代ならブローティガンやバロウズの時代。そんな無邪気で無意識ではいられまいよ。というか、読んでてすごく連想してしまった小説は『裸のランチ』でありました。バロウズがこの本を読んだかどうかとかは知らないけど、そして『裸のランチ』ほどストーリーに筋がないわけじゃないが、こう、フラッシュバックするように強烈なイメージ/状況が立ち表れる感じは、きっと「ジョウント効果」というこの作品における発明の影響も大なのでしょう。ジョウントとは人間の精神で作用するテレポート能力なのだが、もう世界中のほとんどの人が使える、といってもいいくらい普及していて、「ジョウント時代」と呼ばれる世の中を舞台にしている作品だけに、場面転換のめまぐるしさがすごい。でもそれがバロウズのいわゆるカットアップ的なものに発展するかっていうと、そういうアバンギャルドさ(ある意味の洗練性)は前述のようにみじんもないわけで。豊饒、猥雑、プリミティブさは、そのまま主人公のキャラクターでもあるので、その彼を中心にすえた「神話」として読むのがいいのかもしれない。神話ってたいていそんな感じじゃない?前後矛盾してたり、何ソレ?みたいな意味のわからない話があったり。ってことはそっか。ベスター自身も神話を意識して書いた、て説もありうるのか。パルプじゃなくて神話系の荒唐無稽。

まあなんつうか読みかけで考えてることなんで、結論出ない。解説まで読み終わるのがひじょーに楽しみ!です。
てゆうか訳の読みづらさ、わかりづらさにわりとびっくりしながら読んでます。別に嫌いな文章ではないし文章が下手ともまったく思わないのですが、新装版出すんなら、どうせだったら訳も新訳にすればいいのにって思っちゃう。そしたら新しいのも買うのになぁ。先進的な内容だけに、時代に合わせ翻訳があってもいい本だと思う。名作の誉れも高いわけですし。どっかで映画化決まる前に!どーですかハヤカワさん!

まあでも復刊された自体が画期的なことなんすかねー。
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