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Posted by - 2017.09.24,Sun
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Posted by LittKidd - 2008.10.08,Wed
その中をぺっぺっと唾吐きながらただひたすらに歩いてゆく。砂に足をとられ、喉の渇きに耐え、拭う間もなく絶えず流れる汗で体中べとべとになって、その道の先に何が待っているかも分からないまま。

それが僕やあなたの人生です、はい。
フィリップ・K・ディックの『去年を待ちながら』を読むと、それが真実であることがよく分かる。

どうしてこうなってしまったんだろう。こんなはずではなかった。どこからか、やりなおしはできないのか。
星間戦争という国家的・人類的な危機的状況と、妻との不和というドメスティックで個人的な問題が、二人の男を通して交錯する。その二重の構造、マクロとミクロの媒介となるのが、ディック作品でお馴染みのドラッグだ。

JJ180という新種のドラッグを服用することで、人は時間と空間を移動できるようになる。だがJJ180は同時に脳に致命的な損傷を与える。一度で中毒し、二度と元の状態には戻れない。登場人物達は、このドラッグを気分転換や一時の慰みのため、あるいは戦争における政治的駆け引きで優位に立つため、あるいはただ人を陥れるため、あるいはJJ180自体の解毒剤を手に入れるために、使う。主人公のエリックはひょんなことから服用してしまい、あるいきさつからそれを地球と人類のために使うことになるのだが、結局彼の努力では、事態は変わらない。どころか、それに巻き込まれたことでのっぴきならない立場に追い詰められてゆく。

うまくいくと思ったのに。愛し合ってたはずなのに。生まれ変わった気持ちだったのに。

大逆転のチャンスがあると思わせて、何もない。ロボットなどの無生物や昆虫型の宇宙人の営みに、より強い生命力や倫理観を浮かび上がらせる。解説にもあるように、とてもディックらしいモチーフに彩られた作品であり、ひょっとしたら『流れよ我が涙』を越えて一番好きかも。自分がディックを好きなのは、「どうにもならない」ことをあらかじめ肯定してくれているからだ、という気がする。そこに過剰にペシミスティックなものとかは別にないんだけど、「そういうものだよね」という人生観を否定しない、というか。

ちなみに俺はヨメもコドモもちゃんと愛してますよ!仲良いし!良いよね?
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