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Posted by - 2017.08.19,Sat
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Posted by LittKidd - 2008.10.09,Thu
あーくそ。勝ち負けで言えば、完全に負けた。

頭が良く(良識があり)健康で、確固たる信念と人並み外れた行動力を持ち、周囲からも将来を期待されている。
明朗快活、人なつこい性格で、美しい笑顔が輝かんばかりの、この映画の主人公が僕は大嫌いだ。
だってコイツは、自分を愛する家族に背を向け、心配してくれる人々を省みず、旅で得た様々な場所や人々との出会いも捨てて、ただ無謀なだけの荒地行の果てに独り死んでしまうのだ。モデルとなったクリスの遺体発見当時にも、彼に対する批判は多くあったのだそうだ。十分な食料を持たず、緊急の場合の連絡手段も確保せず、アラスカの荒野で何ヶ月も過ごすにはあり得ない軽装で…「アラスカの大地への冒涜」とする声すらあったという。
映画を観ると、ああこりゃ死んで当然だと思う。よくある若者の傲慢さ、それが招いた自業自得の顛末。
むかむかと、腹が立つ。なんでそんなにクソ真面目なんだお前は。なんでそんな簡単で大事なことに、もっと早く気づかないんだ。バカか。

そんなアホなクリスの短い人生を描いた『イントゥ・ザ・ワイルド』という映画を観ていて、涙が溢れ出てくるのを止められないのはなぜか。もうぐちゃぐちゃに泣かされた。言うまでもない、クリスの心がわかりすぎる位にわかるからである。
ここではないどこかへ行きたい。行かなくてはならない。親や恋人や友人、そんな大切な存在を置いてでも、自分には行くべき場所がある。誰にも止めることはできない。自分自身にも。そういう気持ちを、完遂できなかった立場の人間として、自分はこの映画を観るしかなかった。親や親族や、友人の立場から。ある意味では、自分の死を見つめるような気持ちですらあった。

大抵の人は完遂できないのだ。実際に行く、行くことを夢想する、そういった差はあれ、多くの人は生きて現世に戻って来る。それで良かった、という話になる。そうやって帰ってきた人のことも、自分はあまり好きではない。だって帰ってきてるのだ。あんなに大それた思いを抱いたのに、それじゃあ嘘つきじゃないか。そんな嘘つきが、なんでそんな平気な顔をしてられる?なあ、俺。

スクリーンに表れる、クリスの目にした様々な大自然の姿、これがとてつもなく厳しく、美しい。この世界にどうにも馴染めない、生きづらい、そんな摩擦を感じまくってる人は是非映画館で観てください。


ちょっと前のエントリで、
>『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は、主人公の妄想パートをもっときらびやかに、いっそディズニーのごとく
>豪華にファンシーに描いて、凄惨な結末とのコントラストを付けるべきだった、という感想を持った
と書いた。多少なり映画を好む人には、「コイツ何言ってんだ」と思われるような意見だろう。
ラース・フォン・トリアーがああした悲惨なお話を取り上げたのは、別に普通に「かわいそう」なドラマを盛り上げようとしたわけではなく、もっと独特なストーリーへのアプローチを映画の構造の中に追求するにあたり、ああいうオーソドックスな悲劇こそがその凡庸性ゆえモチーフとして適している、という判断があったからである。たぶんそういうことになってる。でも、ダメなんだ。自分は、ひとつの劇を、感情移入することでしか消化することのできない、古いタイプの人間だ。たぶんバカなんだと思う。

だからこそ『イントゥ・ザ・ワイルド』の、クリスの家族や彼が旅で出会った人々のその後を描くシーン、とりわけ父親(母もだが、やはり父)が、舗道に身を投げ出して慟哭するシーンでは、涙をこらえることができなかった。生きて帰ってこられたかもしれない、もうひとつの世界。あり得たかもしれない、幸せを分かち合うことのできる世界。『プレッジ』のときも思ったのだが、ショーン・ペンはああいう感傷的な演出を避けて、もっと乾いた骨太な映画作りを心がけてください。心がハンマーで叩かれるような気がして、つらいです。

ということで腹が立ってしょうがない。こんな映画、もう二度と観ない。けっして、独りでは。
傑作だよチクショー!
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