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Posted by - 2017.06.26,Mon
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Posted by LittKidd - 2009.12.01,Tue




原題 “Waltz with Bashir"。『バシールとワルツを』で公開すると思ってた。トレイラーをのっけたエントリを去年の12月にアップしてからほぼ1年か。ようやく本編を観ることができた。

で、かなりの力作。いや傑作でした。監督自身の失われた記憶をたどるドキュメンタリーであり、1982年に実際にパレスチナの難民キャンプで起きたある虐殺事件のひとつの側面を描いた「アニメーション作品」でもある。え?なんでアニメ?って思うわけだが、観ればなるほど、ちゃんとアニメである理由はわかるようになっている。

映画監督である主人公が、当時パレスチナにいた数人の関係者にインタビューする中で、だんだん記憶を取り戻していく、という構成。スタッフは、当時の証言を広告で募集、集まったエピソードをもとに監督が脚本を起こし、それをスタジオで再構成(監督・スタッフが話者を演じた)・撮影するかたちで、まずはビデオ版を作成。音に関しては、実際の話者にスタジオで話してもらったものを録音。これらの素材から簡易アニメーション版と資金集めのためのパイロット版を作成したのち、ようやく本格的な制作に着手。アニメーターなどのスタッフの不足・資金不足に苦しみつつ、実に4年を経て完成にこぎつけたという労作でもある。(以上パンフレットによる情報から)

フラッシュアニメに特有の、動きの面でちゃちだな、と感じられる部分は正直ある。でもその一種紙芝居的なぎこちなさは、現実とおぼろげな記憶、幻想との間を往復する作品のテーマと一致するものだ。その一方で、慎重に色数を絞られた画面の色彩は、たいへんビビッドで美しく、描かれたその内容と相反して非常に効果的だ。照明弾により黄色く染められた夢と記憶の中の光景や、木漏れ陽に溢れる真昼の果樹園の描写などが印象的。「きれいだな」と感じることで、思わず、ある意味での罪悪感を覚えてしまいそうになる。

また、音楽のチョイスがすごく的確。タイトルのもとである、一人の兵士が踊るように銃を乱射するシーンにおけるショパンのピアノ曲や、主人公が休暇の際に地元の街で耳にするPILなどが耳に残る。オリジナルのスコアも作品のムードにぴったりで秀逸だ。担当はマックス・リヒターというイギリスのエレクトロな人、らしい。

現実と非現実がスクリーンの中でぐらり、と揺らぐラストは見事。このためのアニメーションだったか、と納得する。観客は、色んなことを考えながらエンドロールを観ることになる。

イスラエルとパレスチナの問題には全然明るくないのだが、それでも本作がイスラエル本国で大きな支持を受け、多数の賞を獲得していることには驚く。苦い歴史に向き合い、ある意味で自分の(国の)犯した罪を告発するような内容にも関わらず、だ。日本でもたくさんの人が観ればいいなと思う。一歩、戦争という狂気の状態に陥れば、全然他人事ではない話だからだ。むしろ普遍的な恐怖を扱っているとも言えると思う。

そういう意味でこの映画は本当にリアルだし、アニメーションという手法にもかかわらず現実と強くリンクしている、「いまの映画」。そこが面白いと思うのだ。

NYに行っちゃった(そしてアニメーターをしてるらしい)Sさんも観たかなあ。
観たよな、きっと。




http://www.waltz-wo.jp/index.html
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