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Posted by - 2017.12.14,Thu
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Posted by LittKidd - 2009.02.25,Wed
映画の感想を書いてると、それが面白い映画であれ、つまんないもんであれ、だんだんどこか根本的にむなしくなってくる。言葉を連ねるだけ、大事なとこから遠ざかるような感覚。自分みたいな中途半端なスタンスでは、あんまりやるべきものじゃないのかなと思うようになってきた。『チェンジリング』もだからきのうのでよかったのだが、何にも言えないままだとやっぱちょっとふがいないって気分が残るので、外野席からヤジを飛ばすような感じで言い逃げしたいと思う。ネタバレします。

とびきり特殊な事件というか出来事なのに、そこにある普遍性はただごとではない。ただの事実として、こういう母子がいてこんな不正がこんな凶悪犯罪の影で行われていました、という資料からこの脚本を起こした人がまず、すごいと思った。警察という組織の腐敗や、連続殺人犯の行動から、人間の汚れゆく様、どこまで他者に無感覚になれるのかということを描いてもいるし、あんなデタラメがまかり通る社会の恐ろしさ、それを想像することの重要性を訴えてもいるだろう。警察幹部や精神病院の医者はほんの幾分か戯画的に描かれていると思う。だがそれが陳腐にならず、逆に十分に効果的なのは、アンジェリーナ・ジョリー演じるあの母(クリスティン)の姿に、圧倒的といっていいリアリティが備わっているからだ。

どこででも、そして誰にでも、「戦うか否か」という二者択一が突きつけられることがある。「戦わない」という選択はできるかもしれないが、それ以前の「どっちか?」という問い自体を、生涯にわたって避け続けることのできる人はそういないだろう。やるとやらざるに関わらず、人生に戦いはつきものだ、ということだ。クリスティンが見せたのは、命を脅かされないとも限らない、しかも望まずに巻き込まれた理不尽極まりない戦いのさなかでも、「誇り」と「愛情」を忘れない一人の人間の姿である。そしてそれは、探し求めた息子の行いでもあった。生存を信じた息子が、誇りに思える人間であったこと。映画の終盤で明らかになるこの事実に、ほんの少しだけ、救われる思いがする。一切が報われるわけではない。ただ、そうすることがベストだ、と思えることをやってくれた。そのことの嬉しさ、その感情。それはやっぱり「誇り」とか「信頼」とかいう言葉でしか(僕には)言い表せなくて、それが例の、映画を語るむなしさに直結するわけなのだが。

あと本当に欠点らしい欠点がない、隙のない映画だとも思う。20・30年代のアメリカの風俗の再現性や、シーンの構成・適切なカットなどの、映画的な妥当性といったものに関してほとんど無知な自分だが、これが文字通りの意味で「高級な映画」だということくらいは分かる。嘘くさくなるぎりぎりのところで下品さを排しているし、それなのに物語としてものすごく豊かだ。下手したらサスペンスとかのジャンルものとされてもおかしくないほど、「面白い」仕上がりになっている。そうした面白さ、あるいは物語のリアリティが、細部まで行き渡ったこだわりによって支えられているのだということを実感できる(通は通なりに、庶民は庶民なりに)映画でもある。

毎日jpの映画紹介の記事で、「観客の反応は多分、日本の方がいいだろう。なぜなら、この物語はわれわれに北朝鮮の拉致事件を想起させるからだ」という一文があった。この意見には賛成でも反対でもない(正直そうかもしれないな、とも思う、ただ自分は北朝鮮のことは思い浮かばなかったので)が、そして実際の所うがった意見なのかもしれないが、それってわりとどうでもよくないか。国とか民族とか、大きな括りでいかにも腑に落ちる話にまとめるテクニックは、この映画のスケールにふさわしくない気がする。

これは魂の在り方というものを描いた映画だろう。そのありふれた要素が心を打つのだ。
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