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Posted by LittKidd - 2008.09.11,Thu


『戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌』/小田切 博

再読シリーズ3冊目。
『アイアンマン』を自分なりに「ちゃんと」観るために、というわりと真面目なテーマで読み直してみました。
個人的には「まだ7年しか経ってないんだなあ」ではなく「もう7年も経ってんだなぁ」と思う。正直、『アイアンマン』に乗りきれるかどうか、が(これも個人的にだが)かなり心配で。だって、武器屋の社長がテロリストに拉致されて、その間に思いついたパワードスーツを着て自らヒーローになる、というお話でしょう。国際情勢に全く疎い自分でも、ある意味、『ダークナイト』よりも全然シリアスに身構えるべき映画なんじゃないのか?って思ってしまう。

で、本書の内容はと言えば…その構成は大きくふたつに分けられる。基本的には、いわゆる「アメリカン・コミック」に関する基礎知識をメインに、9.11などをはじめとする「戦争」がどのようにコミックスに影響を及ぼしてきたのか、を分かり易く時に(というかしょっちゅう、か)マニアックに紹介した本、といえばまあ間違ってはいないだろう。

タイツを着たマッチョが悪漢達をブチのめす、だけがアメコミではないこと。アメリカ文化に詳しいはず(映画や音楽など)の日本人が、いかにアメコミの一面的な部分しか見ず、偏見に満ちた「アメコミ論」を振りかざしているのか、そしてなぜそれが現在にいたるまでまかり通ってしまっているのか、といったこと。そもそも『スヌーピー』などのコミック・ストリップとコミック・ブックとはどう違うのか。初期には新聞購読や日用品のオマケのグッズでしかなかったコミック・ストリップが独立した人気を得た理由。アメコミの市場における「ダイレクト・マーケット」とは何か、そのマニア・コレクター向けに特化した文化的な独自性と、後にそれがもたらした禍福とは。DC、マーヴェルの凋落とオルタナティブの勃興、それぞれの版元の特色。といった具合に、過去から現在、作品論的な面や経済的な面を通して、「アメコミ」と一括りに言われる文化の巨大な姿かたちを写し取ろうとする著者の体温はとても熱い。が、その語り口はいたって冷静で、自省を忘れない執筆の姿勢、といったものを感じる。自分のような門外漢が、現在春もたけなわ、といった感のあるアメコミ映画の数々を、一歩踏み込んだ視点から楽しめている(と思っている)のも、この本を読んだからこそだ。著者と、プレゼントしてくれた人に感謝したいです。再読、再々読に耐える本だと思う。

で、本書のもう一つの軸、戦争がいかにマンガを変えるか、という点。この部分に関しては、言いたいことはわかるのだけど…という感想を提示するに留めたい、今のところ。著者の主張は、乱暴に要約すれば「だから、マンガは戦争などをはじめとする国家的あるいは社会的な抑圧に屈する(変えられる)べきではない」というところに着地するのだろうと思うのだが、その大意には個人的には賛同しつつも、この本でそれが効果的に論証されているか、ということを考えると…その出来は「アメコミ文化の紹介」パートの明快さには及ばない、と言わざるを得ない。アマゾンのレビューのひとつにもあるように、はじめに結論があって、そこへ(ある意味、なかば強引に)恣意的な誘導をしている…といった面も見えないではない、気がするのだ。具体的な箇所を示さず、いわゆる印象論でこうした批判をすることは、著者に失礼だしフェアでない、とは思うのだけど。ただ、9.11によって「転向」した作家達の具体的な動き、作品の内容変化を丁寧に追う、というこれ以上ないくらいに実際に即したその方法論に間違いはないと思う。問題は多分、取り上げる作家の取捨選択に恣意性を感じてしまうこと、「戦争」という「体験」がどれくらい個人というものを変えてしまうか、その辺りを本当には体験していない我々(自分と著者)がどこまで推測しうるのか、がまだ明確ではないことなどにあると思う。9.11が「ホットなトレンド」だったり、愛国心がファッショナブルなポーズになりうるという状況に、当事者として身を置くことができる状況なんてできれば避けたいとは思うが、60年前にはそれが現実だったんだ、ということを忘れない、という自覚ぐらいは持っていたい、ってことぐらいは自分にもできるかもしれない。考え続けること。誰かの評価を積極的に真に受けて、考えることをやめることだけは、避けなければならない。それが大事。

個人的には、戦争反対だ。甘いと言われようが政治に無知なバカと言われようが、日本が軍隊を持つことにも反対。自国が占領されても自民族が虐殺されても、他人を殺して儲かる事業に参加するよりはマシだと思ってます。そうした状況で、自分の好きなマンガというメディアが、たとえば大政翼賛とか国民総決起とかぜいたくは敵とかいうものばっかりになったら、悲しいし反吐が出そうな気分になると思う。

じゃあ。自分の家族が戦争で死んだら?具体的には、他国の兵士に殺されたり犯されたりしたら?

それはそん時考える。仮で考えることができることには限りがある。でもその判断の瞬間、それまで考えていたことはけっして無駄にはならんだろう。
とまあそんな空想を弄べるのも平和だからこそ。日本は今日も平和だ。日本の外で、内戦や臓器ビジネスのために、今日は何人の子どもが死んだだろう?マンガを読んだことも、映画を観たこともない子ども達が。
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Comments
いやいや
ちゃんと「それ」ありきの話になってるらしいよ。
Posted by Watanavader - 2008.09.11,Thu 13:28:23 / Edit
うんもちろん
「それ」ありき、だとは思ってるよ。
アメリカ人といえどそこまで無邪気ではないだろうし。これに関しては、他人のレヴューも読んでます。たしかにそういう意見多いよね。どっちの意味でも偏見を持って観たくないなあ、とか思って今頃一夜漬けやってるわけです。ちょ、真面目じゃね?!
Posted by litt - 2008.09.11,Thu 23:00:16 / Edit
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